都心部を中心に乗り捨てできるシェアリングサービスとしても普及しつつある電動キックボード。
ちょい乗りできるのでとても便利ですが、法律を守って安全に乗るためには、最低限のルールがあります。
電動キックボードの自賠責保険
電動キックボードは自賠責保険への加入が必須です。まだ登場してから数年と歴史の浅いキックボードですが、徐々に法整備が整ってきています。
国土交通省でも自賠責保険の加入啓発の特設ページが開設されています。60秒でまとまった動画はわかりやすいです。
電動キックボードは「原付バイク」扱いなので自賠責保険加入は必須
電動キックボードは、道路交通法上では「原動機付自転車(原付バイク)」の扱いです。
原付バイクが自賠責保険の加入が必須であるのと同様に、電動キックボードも自賠責保険の加入が必須です。自賠責保険は強制保険のため、「入らない」という選択肢はありません。絶対に入るしかありません。
なおナンバープレート取得・設置も義務です。自賠責保険の加入、ナンバープレートの設置で、はじめて公道を走れるようになります。
電動キックボードの自賠責保険の保険料/2023年まで
上述の通り、電動キックボードは「原動機付自転車(原付バイク)」と同じ扱いなので、原付バイクの自賠責保険料が適用されます。
損害保険料率算出機構の2021年1月届出の自賠責保険基準料金表に基づいて、2022年の保険料が定められています。
期間 | 1年間 | 2年間 | 3年間 | 4年間 | 5年間 |
---|---|---|---|---|---|
総額の保険料 | 7,070円 | 8,850円 | 10,590円 | 12,300円 | 13,980円 |
1年あたり | 7,070円 | 4,425円 | 3,530円 | 3,075円 | 2,796円 |
自賠責保険は、国が保険料を一律で決めている為、どの保険会社・代理店から申し込んでも保険料は変わりません。
3年間や5年間で契約すると、1年あたりの保険料がぐっと安くなるのでお得ですが、今からのタイミングでは1年間単位での契約がいいでしょう。
その理由は、2024年から「電動キックボード専用の自賠責保険」が設定される見通しだからです。
電動キックボードの自賠責保険の保険料/2024年から
現在の自賠責保険料よりも安くなる可能性があります。
2022年4月19日、道路交通法改正案が可決され、結果的に規制緩和されることになりました。
最高速度が20km/h以下で、一定要件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分になります。
つまりこれまでは「原付バイク」として扱われてきましたが、2024年以降は「電動キックボード」として扱われるようになるということです。
まだ正確な保険料は決定しませんが、いずれ自賠責保険基準料率表が更新され、電動キックボード専用の自賠責保険料が公開されることでしょう。
2024年5月から10%程度引き下げへ
重大な事故に繋がるリスクが低いと判断され、2024年5月から自賠責保険料が現行から10%程度安くなることが決まりました。
上述の通りこれまでは「原付バイク」の自賠責保険料を払うことになっていましたが、今回の改定により、一部の契約者には差額が還付されるとのことです。
個人的には、キックボードによる事故のニュースをよく見かけていたので、今回「リスクが低い」と判断されたのは意外です。
自賠責保険の備え付け・掲示の電子化解禁へ
車やバイクとは違い、電動キックボードは収納スペースなどが限りなく制限されるために、自賠責保険の証明書を「紙」で携行することが難しいです。
そのために国土交通省は、電子化を解禁。とても簡単にいうと「スマホなどからデジタルの形でも持ってればいいよ。必要な時はスマホから証明書見せてね。」ってことです。
2023年2月末に公布、6月1日に施行。
自賠責保険証明書のデジタル化OKの流れは、電動キックボードを皮切りに、車やバイクなどにも今後広がっていくことも十分に考えられます。
電動キックボードの任意保険
すでに説明した通り、電動キックボードの自賠責保険は強制保険なので、必ず加入しなければなりません。
一方で任意保険はその名の通り「任意」なので、加入するかどうかは自由です。
ただし一般的なクルマやバイクと同じように、万が一事故を起こしてしまった際に自賠責保険だけではカバーできない可能性があるので、任意保険にも加入しておく方がよいです。
電動キックボードに対応している任意保険の比較一覧
繰り返しになりますが、2024年現在は「電動キックボード=原付バイク」という扱いなので、任意保険も原付バイクのプランに加入することで対応します。
それとは別に、「電動キックボード専用」の任意保険を提供している損害保険会社もあります。
損害保険会社 | 保険商品名 | 補償内容 | 年間保険料 |
---|---|---|---|
三井住友海上火災保険 | 電動キックスクーター向け自動車保険プランA | 対人・対物:無制限 搭乗者傷害:200万円 |
全年齢:53,370円 21歳以上:23,900円 |
電動キックスクーター向け自動車保険プランB | 対人・対物:無制限 搭乗者傷害:なし |
全年齢:45,680円 21歳以上:16,600円 |
現在だとまだ数は少なく、確認できたのは三井住友海上の電動キックスクーター向け自動車保険のみでした。
上述した法改正が施行され「特定小型原動機付自転車」として扱われる2024年以降は、各損害保険会社から電動キックボード専用の保険プランが提供されることでしょう。
ちなみに自動車保険に加入している場合、特約(オプション)として電動キックボードも対象にできる場合があるようです。このようなファミリーバイク特約を付帯させることで加入可能です。
電動キックボードは2023年7月から免許不要に
電動キックボードは法改正により、免許不要で16歳以上であれば誰でも乗れるようになります。
ヘルメットの着用義務もなくなり努力義務、つまり「できれば着用してね」という程度に。
規制緩和されますが、だからといって事故がなくなるわけではありません。むしこれまで以上に事故が増えることが容易に想像できます。
重大な事故を起こしてしまう可能性を考え、自賠責保険だけではなく、電動キックボード用の任意保険に加入しておくことを強く推奨します。
まとめ
- 電動キックボードは自賠責保険の加入必須
- 現在は「原付バイク」の自賠責保険料が適用される
- 2024年以降は、電動キックボード専用の扱いになる
- 自賠責保険料は安くなる可能性がある
ということです。
2024年までは原付バイク扱いなので、バイク保険の一括見積もりなどを活用して、安い保険会社・プランを見つけていく必要があります。